しいたけ栽培施設内の温度や湿度を外部からチェックしたり、自動換気システム構築時に活用したIoT機器をご紹介します。
しいたけ栽培は夏場と冬場の温度管理が重要ですが、ずっと張り付いてチェックするわけにはいきません。そのため、外部からスマホで温度と湿度を確認できるように、ラズベリーパイ(Raspberry Pi)で作ったマイコン温湿度計や、NetatmoウェザーステーションなどのIoT機器を使って実験していました。
続いて学習リモコンを導入して、温度調整用のエアコンをスマホから操作できるようにしました。
また、Netatmoウェザーステーションの二酸化炭素濃度に合わせて、熱交換形換気扇のロスナイが自動運転する仕組みも作りました。
これはNetatmoウェザーステーションとWi-Fiコンセントのwemo、そして異なるウェブサービスやデバイス間の連携ができるIFTTTの組み合わせです。
栽培施設内の照明は、LEDテープライトを取り付けて調光できるようにしたり、青色LEDでしいたけ栽培に有効と言われる青色光の実験も行いました。
エネルギーマネジメントシステム(EMS)導入セミナーに登壇して、しいたけ栽培の事業内容と、IoT活用やFEMS(フェムス)の事例を発表したこともあります。
農業でIoTを活用 マイコン温湿度計
IoTを農業で活用するため、一番最初に使ったIoT機器です。
しいたけ栽培施設の温度と湿度を外部からチェックするため、小型マイコンのラズベリーパイ(Raspberry Pi)と、無線マイコンモジュールのトワイライト(TWE-Lite)を組み合わせたマイコン温湿度計を作ってもらいました。
外部からしいたけ栽培施設をモニタリングできるのでとっても便利でした。また、1日ごとに温度と湿度の推移をログで残してくれるので、温度と収穫量の関係も一目瞭然になります。
スマホで温度と湿度を確認 Netatmo ウェザーステーション
次に導入したのは「Netatmo ネタトモ ウェザーステーション」です。元々はスマートホームシステムですが、農業でもバッチリ使えました。
Netatmo ウェザーステーションは、スマホから室内外の温度や湿度、さらに気圧、騒音、二酸化炭素濃度をリアルタイムで確認できるのでとても便利です。測定した温度や湿度等のデータはクラウドに保存され、統計データはグラフで見ることができます。
また、NetatmoウェザーステーションとWi-Fiコンセントのwemo、そして異なるウェブサービスやデバイス間の連携ができるIFTTTを組み合わせて、二酸化炭素濃度が上昇すると自動換気するシステムも作りました。
Netatmo は2万円程度と手頃な価格で入手でき、ハードやソフトのややこしい設定も不要、初心者でも簡単に扱えるオススメの気象センサーです。
学習リモコン iRemocon Wi-Fiを使って外からエアコンを操作
高機能学習リモコン「iRemocon Wi-Fi」を導入して、温度調整用のエアコンをスマホから操作できるようにしました。
元々はスマホやタブレットと連携して、スマートハウスを手軽に実現するというのが iRemocon のコンセプトです。部屋全体の家電を操作するため、360度すべての方向に赤外線を飛ばして、リモコン操作ができるようになっています。
当初は自動換気システムに使う予定でしたが、しいたけ栽培施設内の温度調整がうまく行かなかったので、途中からエアコン操作用に転用しました。
ただし、外部からリモコンをコントロールするためには、月額課金の有料機能が必要です。
栽培施設の照明 LEDテープライト
IoT機器とはちょっと違いますが、栽培施設内の照明には白色LEDテープライトを使いました。
LEDテープライトは細長いテープ上に高輝度LEDチップをたくさん並べたもので、明るいだけでなく省エネで長寿命という理想的な照明です。
また、白熱電球や蛍光灯などの照明機器と比べて、LEDテープライトには施工上の大きなメリットがあり、専門知識のない素人でも容易に設置や接続・加工ができます。
青色LEDを農業の実験に使う
青色LEDを農業の実験に使うため、照明用の白色LEDテープライトに続き、青色LEDテープライトをしいたけ栽培施設に取り付けました。
青色光はしいたけの収量を増やしたり、サイズを大きくする効果があると言われ、森林総合研究所や、徳島県立農林水産総合技術支援センターなどで様々な研究が行われています。
また、熟成期間中ではなく、しいたけ発生時の青色LED照射も有効とのことです。ただし、実験した当時は栽培施設の温度や湿度が安定せず、結果はイマイチでした。
もう少し施設内の環境が整ってから実験すれば良かったですね。
京フェムスEMS導入セミナーで発表
しいたけ栽培におけるIoTやFEMS(フェムス)の活用事例を、エネルギーマネジメントシステムセミナーで発表したこともあります。
この時のお題は「椎茸工場におけるFEMS導入事例」で、しいたけ栽培の様子やIoT機器を紹介すると共に、しいたけ栽培設備にFEMSを導入する目的とメリットを15分ほど解説しました。
植物工場は元々運営コストが高いという問題があって、人工光で運営されている植物工場の75%は赤字というデータがあります。
運営コストで大きな割合を占める光熱費を削減するためには、まず栽培施設内の温湿度や電気料金を数値化するとともに、エアコンの運転方法を変えたり、断熱材を追加するなどの設備改良を行います。
農業用IoTを自分で構築
農業用IoTはまだそれほど普及していないため、高額のものが少なくありません。しいたけ栽培を始めた当初は資金の余裕がなかったので、農業専用のIoT機器は使えませんでした。
そのため、小型マイコンや市販のデバイスを使って、いろいろ実験しました。自分で一から勉強して構築するのは大変でしたが、いい経験にはなりました。
これからの時代は、IoTを活用した農業が当たり前になるでしょう。機会があれば、他の作物でもIoT機器が使えるかどうか試してみたいですね。